愛するということ
愛の存在を信じる人は多いが、愛が何かを知っている人は少ない。それは、愛というものを自分勝手なご都合主義で理解したつもりになっていて、「そこに既に存在するもの」として認識している人が殆どだからだろう。
しかし本書では、愛を他との合一欲求と捉えている。それは、少年期から意識の内部に醸成される「自己」により、他者(全ての事象)から自分自身を切り離して認識するすることから始まる「孤立」や「孤独」をバランスさせるためのものなのだという。しかし、愛は、自分を殺して他と同調する事とは全く異なる。孤独から逃げるために行う追従ではなく、自己が自己のまま、しかし全体の一部として大切にされる、あるいは他者を他者のまましかし全体の一部として大切にする、ことである。こうしたことの実践には技術が必要であり、技術を獲得するには修練が有効なのである。とくに、愛の対象が人である場合には、修練によって技術を向上させることの意義は大きい‥と、著者は言っている(私の理解では)と思う。